■冬虫夏草とは

冬虫夏草は、セミやクモなどの昆虫に寄生したキノコの総称です。 冬に虫（昆虫）に寄生し、養分を吸収して成長し、夏になると草のように棒状のキノコが生えてくることから、「冬虫夏草」という名前が付けられています。

冬虫夏草に寄生された幼虫は、体内の養分を吸収されながらついには体内に菌糸の固まりである菌核が形成されます。 その後、虫の体を突き破ってキノコ(子実体)が生じたものが、冬虫夏草として収穫されます。

■冬虫夏草の産地と品質

天然冬虫夏草の原産地は、中国青海省、雲南省、 チベットなど標高3000m以上の高山地帯に限られます。 冬虫夏草の種類は寄生された昆虫の種類によって色々ありますが、 そのうち正統な漢方生素材として扱われるのは、学名コルディセプス・シネンシスと呼ばれるコウモリ蛾科の幼虫に寄生したもの一種類だけです。

天然の冬虫夏草は、チベットの高度３，０００ｍ以上の高地に生息するコウモリ蛾と言う非常に珍しい蛾に寄生します。このコウモリ蛾はチベットの高地にしか存在しません。

コウモリガはチベット高原の3000m〜4000mの高山の草原の地中にトンネルを掘って暮らす大型の蛾です。コウモリガは夏に地面に産卵し、約１ヶ月で孵化して、土にもぐりこみます。このときに冬虫夏草菌に感染すると、幼虫の体内で菌がゆっくり生長し、幼虫の中で徐々に増えた菌は、春になると幼虫の養分を利用して菌糸が成長を始め、夏に地面から生えます。地中部は幼虫の外観を保っており「冬虫夏草」の姿となります（上図）。

●チベット産「冬虫夏草」最高品！？

冬虫夏草の種類は昆虫の種類によっていろいろありますが、そのうちチベット産の冬虫夏草は天然冬虫夏草の最高品として、古来から中国の歴代王朝で、強壮・精力増強、疲労回復、諸病治癒、不老長寿に著効ある高貴薬として、宮廷を中心に常に珍重されてきました。

現在、市場にあるほとんどの天然冬虫夏草は、コウモリガ幼虫に寄生するチベット冬虫夏草ではなく、四川省や雲南省のものが多いのですが、 ランクの低い未成熟なものが多く、有効成分があまり含まれていない冬虫夏草が多いのです。 冬虫夏草の中ではチベット産のものが最も薬効が高いといわれています。しかし、チベット産の冬虫夏草は採取される量はわずかしかなく、 日本で良質のチベット産冬虫夏草を入手するのはきわめて難しいです。 また、最近出まわっている人口的に培養された冬虫夏草（冬虫夏草菌糸体）は、天然の冬虫夏草とは全く別物です。 人口的に培養された冬虫夏草（冬虫夏草菌糸体）は漢方では認められないそうです。